普通の身の上話(マサコ)

前にも書いたかな。書いてなかったかな。最近は漆の作品を作ってる。手を動かす仕事にはアーティストとクラフトマン、エンジニアがあって、音楽にも作家と演奏家があったりする。さらに、作家が曲や歌詞を作って、演奏家や歌手が演奏したり歌った音楽を作品として完成させるにあたって、音作りを手伝うエンジニアがいる。同じように・・・違うかもしれないけど、物作りの現場でも、能動的に作品を作る人と、受動的に注文された物を作る人がいる。作家と職人という分け方をしたりするんだけど。


世を忍ぶ私はどちらか言うと職人としての仕事をやってきた。そっち側の人ね。思い立って、作家側に立ってみた。何をしていいかわからないので、目の前にある皿は全部食べる感じでおもしろそうな事を全部試している。今まで興味はあったけど使った事はなかった素材を使ってみて、今まで興味はあったけど機会に恵まれなかった陶芸をやる機会に”このタイミングで”恵まれたのでやってみて、今までやってみたいとは思ってたが、なんとなくそれはやってはいけないんじゃないかと思ってた事もこの機会だしやってみようかな…とか。


「この機会だし”やってみよう”」と思えるか思えないかの分岐点は「経験」が決めるという事に気付いた。経験がないと迷いとか不安が勝つから「この機会だが”やらないでおこう”」と判断するんだろう。5年前ならそもそもこんな話は引き受けようと思わんかったし、引き受けたとしても不安ばかりで何も楽しくなかったと思う。今はある程度腕が付いてきたから、思いつきをその場で形に出来るおもしろさがある。ただし、あくまでも技術者としての腕しか持ってないので、それをうまく取りまとめる事ができるかどうかはよくわからない。初期衝動だけのカオスになるかもしれんね。でもそれでも一歩進めればそれで良い。


音楽も、タイフーン結成当初は完全に初心者だったし、「今できる事は何か」ということを整理する事ぐらいしか出来る事がなかったんだけど、だんだん経験も増えて「出来ない事は何か」を整理できる段階になってきたので道幅の広い所を楽しく歩く感覚がある。最近やっと音楽も楽しくなってきた。少ないなりに経験は大事だと思うし、時間的な制約などを理由に専門にしぼって練習や研究するよりは明らかに不要な基礎知識もとりあえずなぞるだけでも頭に入れておくと思わぬ分野で役に立つ時がある。ドラムの経験が漆器の修理に役立つという事が現実に起こるし、広く浅い知識を厚く塗り重ねて行くと生活全般が楽しくなる。これは絶対間違いないと思う。今、毎日がめちゃくちゃ楽しいし。


それでですな。


3月20日。アルバム「ジュラ紀のタイフーン」が特設サイトでの先行発売スタートです!

録音されるのやだなぁと思いながら作ってたあの頃の曲を、満を持して2012年〜2013年、少し自信をつけて再レコーディングいたしました!!自信に満ちて顔面テカりきったタイフーンの初期衝動11曲をフラゲで堪能していただきたいです!!!

!!!大事なのは経験です!!!

予約方法は後日大発表いたします!!